ギャラリー内海はオーナーである内海氏がビジネスマンとしての長年のキャリアに終止符を打ち独立開業された店舗であります。本店舗はキリスト教美術を中心に、古伊万里、李朝など内海氏のセンス溢れる審美眼によりコレクションされた骨董ギャラリーです。
店舗デザインにあたりまずオーナー様と確認し合ったこととしては・・・展示品に見合った空間(雰囲気、広さなど)を確保する・・・ということと、展示品の持つ魅力を純粋に伝えることのできるシンプルな空間という2点でした。そしてそれを具現化するにあたり参考としたのがオーナー様が共感するキリスト教の一派であるシェーカー教徒の理念「一切の装飾の排除」「直線に基づく構成」「実用性の重視」という清廉でストイックな精神世界です。これを7坪程のミニマムな空間で表現いたしました。店舗のコンセプトは“シンプリシティ”。
入居するビルは麻布十番の喧騒から離れた東麻布に位置するコンクリート打ちっ放しのスタイリッシュなビルであり、コンセプトおよび下記演出を行うにあったてはうってつけの物件でありました。 【空間演出の柱としたもの】
- 街並みに調和しながらもブランドアイデンティティーを表現したファサード
- ミニマムなコンクリート打ちっ放しの壁(外壁、内壁)
- 教会に通ずる厳粛な静寂感と世界観
- 自然光に近い柔らかい光の表現
コンクリート打ちっ放しのファサードは4つのくり抜きで十字架を模し、店舗の世界観を通りすがりの人々にメッセージとして送り続けています。またそのくり抜きは“小窓”となり昼は外から柔らかい光を吸収し、夜は仄かな光を外に灯す光景は私が感銘を受けた建築家・安藤忠雄の「光の教会」にどこか共通するものがあるのではないかと考えております。また店内の様子が伺えることでコンクリートの壁で覆われた閉塞感を和らげる効果も持たせています。店内空間はコンクリート打ちっ放しの壁にディスプレイの棚板のみとし、棚板と床の木はアンティーク加工を施して時を重ねた風合いを出しています。そうした中で、柔らかな光に包まれたマリア像が鎮座した光景はまさに小さな教会と言えるでしょう。光源となる照明に関しては欧州の美術館照明として多くの実績を誇るスペイン・Antares社のものを採用。 また店内の壁はコンクリート打ちっ放し意匠ボードの上にさらに左官職人による仕上げを行いよりリアリティーを追求するなど、ミニマルな空間だからこそディテールにまで徹底的にこだわりました。
ギャラリーという業態は店(オーナー)の持つ世界観(価値観)に共鳴していただくことから始まる商売であることから、ディスプレイされている骨董美術そのものだけでなく、この空間に存在する目には見えない何か・・・(価値観)も含めて評価、購入していただくということがマーケティング上でのコンセプトとなります。そしてこの麻布界隈は外国人の就業率・居住率が非常に高いエリアであり、このミニマムな空間がそういった外国の人々からも共感を得られるものとなることを期待しております。
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